目 次
裁判(公判)までの手続
保釈・保釈金
弁護人
裁判(公判)手続
判決
犯罪の疑いがある場合、警察など捜査機関は逃走防止等のため、被疑者の身柄を確保(逮捕)します。
逮捕されると、警察署内の留置施設などに留め置かれ、外に出ることはできません。
裁判官が被疑者と面談し(勾留質問)、その結果、逃走防止等のため被疑者を留置施設内などに留め置く必要がある、と判断した場合、やはり被疑者は外に出ることはできません。
これを勾留といいます。
よくある質問(取り調べ)
捜査機関での取り調べの結果、被疑者の犯罪を裁判所で裁く必要がある、と検察官が判断した場合には、検察官は「起訴」を行います。
一方、被疑者の犯罪について、裁判所で裁く必要がない、と検察官が判断した場合、起訴はされません。この場合、被疑者の身体(身柄)は解放されます(釈放)。
よくある質問(略式起訴)
よくある質問(在宅起訴)
保釈とは起訴された後、一定の条件を満たした場合には、被告人の身柄を解放して自由にすることを言います。
すなわち、逮捕・勾留の後に起訴された場合、通常、被告人は警察署内の留置施設などに留め置かれたままで、外には出られないのですが、保釈が認められた場合には、身柄は解放されて外に出ることができます。
保釈金(保釈保証金)とは、被告人を保釈により解放する際、逃走せず公判に必ず出頭することを促すため、事前に収めさせるお金をいいます。
すなわち、もし、保釈後、公判に出頭せず逃走した場合には収めた保釈金は没収されます。このような仕組みにより、被告人が必ず公判に出頭することを促しているのです。
公判に出頭した場合には、後日、保釈金は返還されます。
刑事裁判では、被告人の言い分を整理して裁判所に説明する必要がありますし、刑法上の高度な理論・理屈が争点となることもあります。
このようなことを法律や刑事手続に詳しくない被告人本人が一人で行うことは事実上不可能です。したがって、法律や手続等に精通した者が被告人に代わり、これら作業等を行うことが必要です。
このため、被告人には、弁護人を付けて裁判を行う権利が憲法上保障されています。すなわち、刑事裁判においては、被告人には資格を有する弁護人を依頼することができますし、被告人に弁護士を依頼する金銭的余裕がない場合には、国が弁護士を付けてくれます(憲法37条3項)。
このように、被告人が貧困のため弁護士を自費で雇う余裕がない場合に国が付けた弁護人を「国選弁護人」といいます。これに対して、自費で雇った弁護人を「私選弁護人」と呼んでいます。
逮捕後、勾留された段階で、国選弁護人をつけることが可能です(刑事訴訟法37条の2第1項)。
逮捕・拘留されずに、起訴された場合(いわゆる在宅起訴)には、起訴後に国選弁護人を付けることが可能になります(刑事訴訟法36条)。
費用 | 弁護士の選択 | |
国選弁護人 | 原則なし | どの弁護士にするか選択できない※ |
私選弁護人 | 必要(弁護士との契約による) | どの弁護士にするか選択できる |
人定質問
裁判所から住所、氏名、本籍、職業などが質問されます。
起訴状朗読
検察官が起訴状を朗読します 。
権利告知
黙秘権などについて裁判所から説明があります。
罪状認否
起訴状に記載された犯罪を行ったか確認を求められます。
冒頭陳述
犯行に至る経緯や犯行の具体的状況などについて検察官が述べます。
書証取調べ
検察官が、捜査過程で作成された書面(実況見分調書、供述調書等)を裁判所に提出等します。
弁護側からも同様に、書面(示談書等)を示します。
証人尋問・被告人質問
弁護人、検察官などから質問があります。
論告・求刑
検察官から求める刑と理由などが述べられます。
弁論
弁護人から裁判官に求める事柄(例:寛大な処分を求めます)などを述べます。
最終陳述
被告人が手続の最後に意見を述べることができます。
公判を何回程度行い、判決までどのくらいの時間が必要か、については事件の内容等によって異なり一概には言えません。
あくまで、一般論として述べると、いわゆる自白事件(被告人が起訴された犯罪事実について争わず、「やったことは間違いない」旨述べた事件)については、公判(冒頭手続~弁論手続)を1回(1時間程度)行い、その後、1~2週間以内に判決がされる、という例が多いといえます。
なお、裁判員裁判(殺人等の重大事件)では、自白事件であっても、公判の回数はもっと多くなります。
よくある質問(証人尋問)
有罪の場合には刑が言い渡されます。
刑の種類として、死刑、懲役、禁固、罰金などがあります。
また、懲役、禁固などについては、刑の執行を猶予することができます(刑法25条)。
ニュースで「被告人○○に、懲役○年、執行猶予○年の判決が下された」などということを聞いたことがあるかと思いますが、執行猶予とは何なのでしょうか。
例:窃盗犯が「懲役1年、執行猶予3年」の判決を受け確定した場合
執行猶予とは、単純化して述べると、上記の例なら、本来は1年間、刑務所に行かなければならないが、犯罪をせず真面目に3年間暮らすならば、「懲役1年」という刑の言い渡しは効力を失い(刑法27条)、刑務所に行かなくともいい、ということです。すなわち執行猶予の判決があった場合には、刑務所に行かずに済み、通常の生活が可能で、旅行も自由にできます。
しかし、もし、執行猶予期間中に犯罪をした場合、例えば上記の例で、判決の2年後に傷害罪により捕まり実刑判決を受けた場合、執行猶予は取り消され1年間刑務所に行くことになりますし、それだけでなく傷害罪の刑もあわせて課されるので、その結果、1年以上刑務所に行かなければなりません。